腹圧のトレーニングとは?腹圧呼吸法の目的と解説。

腹圧のトレーニングとは?

一言でいえば、腹圧のトレーニングは体幹トレーニングとも言うことができます。

体幹トレーニングというといわゆる腹筋運動(シットアップ、プランクやホバーなどに代表されるエクササイズ)を想像する人も多いと思いますが、

体幹トレーニングと言っても多様です。

体幹の部位を鍛える「Core-component:コアコンポーネントトレーニング」と体幹の機能を鍛える「Core-function:コアファンクショントレーニング」があり、腹圧のトレーニングは後者に当てはまります。

腹圧についてはこちらの記事で役割や効果について解説しました。

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腹圧のトレーニングとは?

腹圧トレーニングを行うことで横隔膜や腹筋群の機能を向上させ、体幹機能の向上を目指します。呼吸を用いたトレーニングによって横隔膜を効果的に動かす訓練をします。

これは「腹圧呼吸法」(以下、IAP法)といい、息を吸うときも吐くときもお腹を膨らせたまま、息を吐き切る方法です。このIAP法で重要なのは「横隔膜」の働きです。ですので、横隔膜の動きを引き出すことがIAP法のトレーニングにおいて重要です。

何故、呼吸トレーニングなのか?

それは横隔膜の役割にあります。横隔膜には大まかに3つの役割があり、それぞれ「姿勢維持筋」「括約筋」そして3つ目が「呼吸筋」です。

姿勢維持筋として

横隔膜が収縮し、下へ移動する(下制)ことで腹腔内圧が高まり、体幹部が安定することで、姿勢を維持することができます。

括約筋として

横隔膜の中央近くには穴が空いており、そこを胃につながる消化管が通ります。横隔膜が機能することにより、横隔膜の収縮性で消化管の逆流を防ぐのです。

呼吸筋として

横隔膜が収縮して下制することで、胸腔内は減圧になり肺に外から空気が入っていきます。

横隔膜の動きを確認する単純な指標として、「息を吸った時に腹部が膨らむかどうか」がポイントになります。

息を吸った時に正しく横隔膜が下降すれば、腹筋群や骨盤底筋群は遠心性収縮となるので、腹部は風船やゴムボールのように丸く膨らむのです。

腹圧トレーニングの効果について

脊柱の安定性が機能することは運動時に限らず身体を動かすことに不可欠となります。
脊柱や体幹がうまく機能せず、不安定だと腰痛や慢性痛を引き起こすことも少なくありません。

適切な脊柱の安定性というのは、呼吸筋としてだけでなく、姿勢を安定させるための姿勢筋としての横隔膜の機能の両立がキーになります。

胸式呼吸や逆説呼吸などの胸だけの浅い呼吸を繰り返すと、横隔膜がうまく下降しないため、本来の動きが悪くなります。すると、IAPを高めにくくなり、体幹は安定せず、姿勢も悪くなりやすくなり、身体への負担が増すわけです。

逆に横隔膜をしっかり下げて呼吸をすることで腹部のIAPが獲得できると、腹部だけでなく、全身の身体の使い方を変化させることができます。

横隔膜が下降することで、上の図のようにIAPが高まり、身体の中心や脊柱が安定します。

すると、中枢神経と身体の各部がリンクすることで、効率の良い身体の使い方を会得できるのです。

腹圧トレーニングの方法

IAP法とは、ひと言で言うと息を吸ってお腹をパンパンに膨らませた状態を保ちながら、息を吐き切る方法のことです。

この次のセクションで自分で簡単にできる腹圧のトレーニングの方法を紹介しています。

トレーニングではこれを様々な姿勢や動きで行うことで、身体がどの姿勢で、IAPが下がりやすいのか、またIAPを高める訓練をするかを見極めながらおこなっていきます。

なので、腹圧のトレーニングは、いわゆる器具を使ってやるような筋トレとは違います。器具を使うようなトレーニングは、筋肉をさらに大きくする目的で行います。ダイエットやボディメイクに有効なトレーニングではありますが、腹圧のためのトレーニングとはまた異なります。

前回の記事で紹介しましたように、

IAPを高めるのは腹腔のユニットである「横隔膜」「腹筋群」「骨盤底筋」が同時に働くことが必要になります。

前回の記事はこちらから。

腹圧とは?腹圧(腹腔内圧)の解説

骨盤底筋群とは?骨盤底筋群(骨盤底筋)がどこにあるのか?その役割についてはこちらで解説しています。

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こちらの記事では骨盤底筋を鍛えるべき理由と骨盤底筋を鍛える方法について解説しています。

骨盤底筋鍛えるべき理由と骨盤底筋を鍛える方法 骨盤底筋鍛えるべき理由と骨盤底筋を鍛える方法

腹圧(IAP法)のエクササイズをご紹介

IAP法のエクササイズを紹介:ゴムバンド1本で簡単にできる

ゴムバンドは腹圧のかけ方に慣れるまでの補助だと思ってください。
慣れてしまえば、ゴムバンドが無くてもできるようになります。

  1. ゴムバンドをだいたいおへその高さでお腹に巻きます。(1枚目の写真)先端は結んでしまえばOKです。
  2. 1枚目の写真のように軽い締め付け感を感じる程度の強さでゴムバンドをお腹に巻きます。
  3. 2枚目の写真のように、息を吸いながらゴムバンドの締め付けを押し返すようにお腹を膨らませて息を吸いましょう。この時、背中が反ったり、首や肩に力が入らないように注意です。
  4. ゴムバンドを押し返すようにお腹を膨らましたまま、ゆっくりと息を吐きます。できれば息を吐き切ります。お腹が緩まないように意識してください。
  5. このまま、まずは20秒呼吸を続けましょう。目標は1分間軽々できるようになることです。

是非やってみてください。

ゴムバンドはオンラインやスポーツ用品店、最近ではスーパーでもフィットネス・健康器具コーナーなどがありますので、そういう所でも購入できるかと思います。参考までにオンラインで購入できるものを紹介します。

ゴムバンドは色やブランドによっても強度や伸長度が違うのですが、腹圧のトレーニングを行う際には柔らかい、強度の弱いゴムバンドで十分です。

職場やオフィスで簡単にIAP法のエクササイズをご紹介

こちらの動画では実際に職場やオフィスで出来る腹圧のエクササイズを3つ紹介しています。是非ご覧ください。


このように、呼吸エクササイズでは腹圧を高めるためにお腹周りの筋肉をまず使うようなエクササイズが中心になります。

お腹周りのエクササイズというと、上体起こしに代表される腹筋エクササイズや、上体反らしによって背筋を鍛えるといったトレーニングを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、

これらは腹圧を高める目的においては向いておらず、逆効果な場合もあります。

IAPのエクササイズは、自重エクササイズという自分の身体のみで行うことが中心になります。

自分の身体をIAPを高めて支えるということは、先述の負担の少ない姿勢を維持することにつながります。

このIAPエクササイズの内容は、現在のIAPの働き方・機能の仕方によって決まります。

パーソナルセッションでの取り組み

IAPのエクササイズも、きちんとした評価がなければ効果的な腹圧のトレーニングはできません。

SyncBodyのパーソナルセッションでは、以下の流れで行うことで効果的にIAPを高めることができます。

  • 呼吸・IAPの評価
  • 呼吸/ IAPのためのストレッチ
  • IAPエクササイズ

今まで、体が疲れやすかったり、疲れが抜けにくかった方にはパーソナルセッションでのIAPエクササイズがオススメです。

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