カッピングとは?
カッピングとは元々中国の民間療法でガラスやプラスチック製のカップを肌に密着させ、
カップ内の陰圧(吸う力)により皮膚を吸引し血流や筋肉などに働きかけることで
体の不調を改善する民間療法の1種です。
数年前の世界水泳でマイケル・フェルプス選手の体に残っていた赤紫の丸いアザがカッピング治療の跡であることが話題になりましたね。
吸い玉などの名前で呼ばれることもあるこのカッピング療法の発祥は
紀元前600年ごろの中国まで遡ると言われています。
(古い…いや、歴史のある療法ですね)
カッピングの効果
元来のカッピングの効果としては瘀血(おけつ)を吸い出すことで
良い気を全身に流して、体を整える。
つまり、身体の中の老廃物を引き出し、循環をよくする目的で行う。
という意味があったようで、現在も東洋医学をベースとした治療院や医療機関では同様の説明をしているところも少なくありません。
しかし、医療のベースをガッチガチの西洋医学で学んだ僕としては、
しっかりとした科学的効果や根拠も欲しいところなので、
後半にその解説をしようと思います。
冒頭のマイケル・フェルプス選手をはじめ、著名人、有名人がカッピングを受け、
さらに、近年は専門家向けのカッピングの講習会なども増えてきています。
カッピングのデメリット
カッピングや吸い玉をやった後に内出血のような丸い跡が残ることがあります。特に普段の生活でも内出血ができやすい人は要注意です。
施術前にあらかじめその旨を伝えるのが良いでしょう。
カッピングとしては、調子の良い部分は淡いピンク色。調子の悪い部分は濃い紫色になると言われています。
カッピングによる痣は3日〜1週間ほど残ります。
また、以下のような方は注意が必要です。
- 貧血がある
- 心疾患がある。
- 発熱など体調不良である
現代のヘルスケア業界や美容業界に受け入れられるように、瘀血の概念だけでなく、筋肉や筋膜、柔軟性といった要素も含めることで受け入れやすくしているのかもしれません。
現代版カッピングと言ったところでしょうか。
カッピングの効果の根拠はあるのか?
さて、その現代版のカッピングに対して
米国補完統合衛生センターの見解では
- 現在いくつかの研究が行われているが、研究の質としては高いものではない
- カッピングは痛みを緩和する手段にはなりうるが、エビデンス自体は強いものはない
- 質の高い研究がないのでカッピングがどんな症状に有効なのか結論づけるのは時期尚早である。
とのことです。
つまり「どんな症状に効果があり、有効なのか分からないから、やるだけやってもいいんじゃない?」みたいなスタンスです。
そして、2020年に発表された新しい研究では、
筋膜の調整や筋肉繊維の適正な伸縮を目指す手段として有効であることが報告されています。
Chiu YC, Manousakas I, Kuo SM, Shiao JW, Chen CL (2020) Influence of quantified dry cupping on soft tissue compliance in athletes with myofascial pain syndrome. PLOS ONE 15(11): e0242371. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0242371
なので、筋膜の滑走性や筋肉の伸縮を促すために
マッサージ、ストレッチ、ヨガ、ピラティス、フォームローラーなどを
使っていたけど、なかなか変化を感じられないという中で、
カッピングをチョイスすることは良い判断と言えるでしょう。
筋膜や筋肉をケアする上で「これが良い!」という万能なツールやテクニックというのはなく、
あくまで手段の一つとしてカッピングを試してみて、自分に合うかどうかを確認してみるのが良いと思います。
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